分割払いはやめたほうがいい?デメリットや返済シミュレーションを紹介

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%と結果が出ました。

中でもクレジットカードは85.5%が「比較的利用する頻度が高い」と答えていて、多くの方が利用しているとわかります。

クレジットカードの中でも注意して使いたい制度が分割払いです。

金融庁の定義によると、分割払いとは商品などの支払いを2カ月以上かつ3回以上に分けて行う方法を指します。

この記事では分割払いはやめておいたほうがいいのか、デメリットや返済シミュレーションを交えながら紹介します。

記事を参考に、自分が今後クレジットカードの分割払いを利用するか判断してみてください。

この記事でわかること

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目次

クレジットカードの分割払いはやめたほうがいい理由・デメリットを解説

クレジットカードの分割払いは、便利な分デメリットも4つあります

「なんとなくやめたほうがいいのはわかっているけど、分割払いをしすぎるとどうなるかわからない」という方は、以下を確認してみてください。

1.分割手数料がかかる

クレジットカードの分割払いを利用すると、利用した金額や分割回数に応じて分割手数料がかかります

具体的な手数料はクレジットカード会社によって異なるので、以下の例を参考にしてみてください。

クレジットカード分割手数料
三井住友カード(NL)12.0%〜14.75%
三菱UFJカード12.25%〜15.0%
JCBカード15.0%
アメリカン・エキスプレス・グリーン・カード14.9%
エポスカード15.0%

基本的に一括・2回払いなどの支払い方法なら、分割手数料はかかりません

「手元に現金がないから支払いを分けよう」と分割払いを繰り返してしまうと、多額の手数料を支払わなければならないと理解しておきましょう。

2.1回の支払額が少なく使い過ぎてしまう

クレジットカードの分割払いは1回の支払額が少なく、つい使い過ぎてしまう可能性があります。

3回・12回・24回など支払い回数を分けると、分割手数料を足しても家計への負担は軽減されたように感じるでしょう。

例えば……

三井住友カード(NL)で12万円を12回払いで支払ったとしましょう。このケースだと月々の支払いは10,804円で、支払い総額は129,648円になります。

参照元:三井住友カードお支払い調整シミュレーション

しかし「1度利用したら返済できるまで使わない」など 自分の中でルールを設ければ、使い過ぎてしまうリスクも避けられます。

クレジットカードの分割払いを利用するときは、自分の中でルールを決めて使い過ぎないようにしてください。

3.いくら返済したかわからなくなる

クレジットカードの分割払いを利用すると、自分がいまいくら返済しているのかわからなくなります。

一般的にクレジットカードの分割払いは3回から36回(会社によっては12回・24回)程度の回数を設定できるため、支払いが長期化するといつ・何に・いくら使ったのか忘れてしまうからです。

例えば……

36回払いで商品を購入した場合、支払いが終わるのは3年後です。それまでにクレジットカードを利用していると、自分が何の支払いをしているのか忘れてしまいかねません。

「いつまで経っても支払いから解放されない」と感じてしまい、デメリットに感じることもあるでしょう。

4.クレジットカードの審査に影響がある

クレジットカードの分割払いを多用すると、クレジットカードの審査に悪影響を及ぼします

分割払いの残債は借金なので、審査元からの印象が悪くなるからです。

分割払いの利用履歴は記録されている!

クレジットカードの利用履歴は、CIC・JICC・全国銀行協会などの信用情報機関に記録されます。分割払いの返済や延滞の情報も残るので、利用者は遅れがないようにしてください。

残債がある状態や過去5年以内に延滞した方がクレジットカードを新規で申し込むと、審査落ちの可能性もあります。

今後クレジットカードを申し込む予定がある方にとって、分割払いはデメリットになるでしょう。

クレジットカードで分割払いを利用するメリット

クレジットカードの分割払いは、大きく3つのメリットがあります

クレジットカードで分割払いを利用するメリット
  • お金がなくても購入できる
  • ボーナスなどの臨時収入に合わせて柔軟に支払える
  • 支払い回数を選択できる

正しく利用できれば生活がより豊かになるので、一つずつ確認してみてください

1.お金がなくても購入できる

クレジットカードの分割払いは、現時点でお金がなくてもいますぐ購入できる点がメリットです。

支払いは翌月から選択した回数に分けられるため、まとまったお金を支払う必要がありません。

例えば……

360,000円の家電を購入するときに36回払いの分割払いを設定すると、月々の支払いは12,412円(総額446,832円)になります。

参照元:三井住友カード「お支払い調整シミュレーション」

「限定品でいますぐ買わなければ売り切れる」「毎月一定額なら支払える」などのシーンで分割払いを活用すれば、メリットを十分に享受できるでしょう。

家電や旅行のように高額な買い物や限定品のような緊急性の高いときにお金がない方は、分割払いを利用して買い物してみてください。

2.ボーナスなどの臨時収入に合わせて柔軟に支払える

クレジットカードの分割払いを利用すると、ボーナスなどの臨時収入に合わせて柔軟に支払えます

「ボーナスまでは分割で支払いたい」「ボーナスが入ったら一括で支払える」と、状況によって支払い方法を変更できるのはメリットといえるでしょう。

分割払い設定後の繰上げ返済も可能!

クレジットカードの分割払いは、設定後の繰上げ返済も可能です。繰上げ返済を利用すれば少ない手数料で商品を購入できるので、活用してみてください。

半期に1度ボーナスがある会社や定期的に大きな発注をもらえる個人事業主は、繰上げ返済を利用すれば分割手数料を抑えられます。

3.支払い回数を選択できる

クレジットカードで分割払いを利用すると、自分の都合に合わせて支払い回数を選択できます。

一般的に3回から36回程度設定できるので、購入したい商品の金額に合わせて調整してみましょう。

例えば……

三井住友カード(NL)なら3回から36回まで、JCBカードは3回から24回まで分割回数を設定できます。設定できる分割回数はカード会社によって異なるので、持っているクレジットカードの対応回数を確認してみてください。

分割回数を自由に選択できれば、購入する商品の金額や他のローンと調整しながら生活に支障が出ないように支払い続けられます。

「やめたほうがいいのはわかっているけど、分割払いを利用しないと商品を買えない」という方は、生活に支障が出ない回数に設定してください。

分割払いとは?ボーナス払いやリボ払いとの違い

金融庁の定義によると、分割払いとは商品などの支払いを2カ月以上かつ3回以上に分けて行う方法を指します。

割賦(かっぷ)販売とも呼ばれていて、ボーナス払いやリボ払いと仕組みは違うと理解しておきましょう。

以下では分割払いの仕組みを解説し、ボーナス払い・リボ払いとの違いも紹介します。

分割払いとボーナス払いの違い

分割払いボーナス払い
支払い回数3回〜36回1回
分割手数料12.0%〜15.0%程度なし

分割払いとボーナス払いの違いは、表のとおりです。

分割払いは支払い回数を3回から36回まで設定できるのに対し、ボーナス払いは賞与が支払われる1回になります。

また分割払いの手数料は12.0%から15.0%程度かかりますが、ボーナス払いの手数料はかかりません

今後入ってくる賞与で支払えるならボーナス払い、分割しないと支払えない場合は分割払いを選択するとよいでしょう。

分割払いとリボ払いの違い

分割払いリボ払い
支払い回数3回〜36回購入した金額が支払い終わるまで
分割手数料12.0%〜15.0%程度12.0%〜15.0%程度

分割払いとリボ払いの違いを表にまとめました。

分割手数料は分割払い・リボ払いともに大きく変わりません。

しかし分割払いは支払い回数を定めるのに対し、リボ払いは毎月支払い金額を設定します。

つまりリボ払いは購入代金分の返済が終わるまで、回数関係なく支払いが続くと理解しておきましょう。

分割払いと2回払いの違い

分割払い2回払い
支払い回数3回〜36回2回
分割手数料12.0%〜15.0%程度なし

分割払いと2回払いの違いは、表のとおりです。

「2回払いも分割払いなのではないか」と考えている方もいるかもしれませんが、分割払いは2カ月以上かつ3回以上の支払い方法を指すので該当しません。

分割払いは3回から36回の支払い回数を選べるのに対し、2回払いで設定できる回数は2回のみです。

ただし2回払いは分割手数料がかからないので、回数少なく支払えるのであれば2回払いを設定するとよいでしょう。

分割払いの事例をシミュレーションで紹介

「分割払いはやめたほうがいい気がするけど、実際いくら手数料を支払うのかイメージできない」なら、シミュレーションしながら確かめてみましょう。

以下では、3つのパターンに分けて分割払いを利用したときのシミュレーションを実施します。

6万円の商品を3回払いで購入

支払い総額61,206円
分割手数料1,206円
毎月の支払額20,402円
※参照:三井住友カード「お支払い調整シミュレーション」
※実質年率12.0%で試算しています

6万円の商品を3回払いで購入すると、支払い総額は61,206円になりました。

実質年率12.0%で分割した場合、手数料で1,206円毎月上乗せして支払いが必要です。

数万円程度の買い物で分割回数も最小であれば、分割手数料に悩まされるリスクは小さくなります。

分割払いを考えている方は、自分が支払える最小の分割回数は何回なのか、シミュレーションしながら確認してみてください。

10万円の商品を10回払いで購入

支払い総額106,700円
分割手数料6,700円
毎月の支払額10,670円
※参照:三井住友カード「お支払い調整シミュレーション」
※実質年率14.25%で試算しています

10万円の商品を10回払いで購入すると、支払い総額は106,700円になりました

分割手数料は6,700円と、1回の返済で670円ずつ上乗せして支払う計算になります。

「分割手数料が高い」と感じる方は、ボーナス月や生活費が余ったときに繰上げ返済を活用しましょう。

各クレジットカードコンビニATMや店舗に設置されているATMから、繰上げ返済を行えます。

50万円の商品を36回払いで購入

支払い総額620,600円
分割手数料120,600円
毎月の支払額17,270円
※参照:三井住友カード「お支払い調整シミュレーション」
※実質年率14.5%で試算しています

50万円の商品を36回払いで購入すると、支払い総額は620,600円になりました

そのうち分割手数料は120,600円と、贅沢な国内旅行くらいの費用を支払わなければなりません。

毎月の支払額は17,270円で、繰上げ返済をしないなら3年間支払い続ける必要があります。

高額な買い物を回数の多い分割払いで購入すると、1度に支払う費用は少なくても総額が大きく膨れ上がってしまうと理解しておきましょう。

分割払いをする人の特徴

分割払いをする方は、事情があってやむをえず利用しているケースが多くあります。

ここでは分割払いをする方の特徴をまとめるので、自分が当てはまっていないか確認してみてください。

手持ちのお金がない人

分割払いを利用する方は、手持ちのお金がない特徴を持ち合わせています

「自分へのご褒美で給料を前借りしたい」「他の支払いもあって現金は残しておきたい」などの理由で、やむをえず分割払いを利用しているのです。

支払い回数を少なくしたり給料が入ったときに繰上げ返済したりすると手数料を抑えられるので、分割払いを利用する方は安い手数料にできないか工夫してみてください。

いますぐ買い物する必要がある人

緊急性が高くいますぐ買い物しなければならない方も、分割払いを利用する傾向にあるでしょう。

「限定商品の抽選に当たった」「旅行代金を支払わなければならない」など、お金の有無にかかわらず支払わなければならないときに分割払いを利用します。

支払うお金が少額なら2回払いも検討

数万円程度の買い物で手数料を抑えたいなら、2回払いも検討しましょう。一般的に2回払いなら手数料がかからないため、購入代金と同じ費用で買い物ができます。

支払いを後回しにしたい人

クレジットカードの分割払いは、支払いを後回しにしたい方も利用します。

「他の支払いで今月は手一杯」「ボーナスが入るタイミングまで分割で支払いたい」などの理由で利用する方もいるでしょう。

ボーナス払いも検討しましょう

ボーナスが入るタイミングで支払える方は、ボーナス払いも検討してみましょう。1度にまとめて支払うため、手数料無料で利用できます。

分割払いで信用が落ちることはない

分割払いを正しく利用できれば、信用が落ちることはほとんどありません

クレジットカードを利用すると記録は信用情報機関に残りますが、延滞・滞納がなく支払えれば利用履歴として情報が残るだけです。

ただし、以下の使い方では審査に悪影響を及ぼす可能性があると理解しておきましょう。

審査に悪影響を及ぼす使い方
  • 延滞・滞納を繰り返す
  • 残債がある状態でクレジットカードを新規で申し込む

分割払いで信用情報を傷つけたくない方は、支払いをすべて完了させてから新たに金融サービスを申し込んでください

分割払い利用時の注意点

分割払いを正しく利用しないと、信用情報を傷つけてしまう可能性があります

3つの注意点を確認し、ミスの内容に利用してください。

返済計画を立ててから利用する

クレジットカードの分割払いを利用するときは、返済計画を立ててから利用しましょう。

「現金がないからなんとなく分割設定しよう」と無計画に利用すると、気づかぬうちに分割手数料が膨れ上がってしまいます

返済計画を立てる方法

返済計画を立てるときは、クレジットカード会社のシミュレーション機能を活用しましょう。各社分割払いの支払い総額を算出できるツールを用意しているので、利用前に活用すれば返済計画を立てられます。

返済シミュレーションを活用すると、支払い総額・分割手数料の総額・1回あたりの支払額を算出できます

記事内でも3つのケースでシミュレーションしているので、こちらも合わせて確認してみてください。

分割払いのシミュレーションを確認する

やみくもに分割回数を多くしない

クレジットカードの分割払いを利用する方は、やみくもに支払い回数を多くしないように注意しましょう。

分割手数料が高くなり、利息の支払いに追われてしまうからです。

実際に100,000円の買い物で分割回数ごとの支払い総額をまとめたので、確認してみてください。

分割回数支払い総額
3回払い102,010円
12回払い108,040円
36回払い124,120円
※参照:三井住友カード「お支払い調整シミュレーション」
※3回払い:実質年率12.0% 12回・36回払い:実質年率14.5%で試算しています

クレジットカードの分割回数を多くすると、上記のように手数料分の代金が上乗せされます。

分割払いを設定するときは、自分が支払える範囲で少ない回数を選択してみてください。

分割払いのタイミングを逃さない

クレジットカードの分割払いを利用するときは、タイミングを逃さないように注意しましょう

分割払いを設定できるのは以下のタイミングです。

分割払いを設定できるタイミング
  • 会計時に支払い回数を設定する
  • 利用後にアプリ・Webサイトから支払い方法を変更する

「店員に分割払いを設定してもらうのは気が引ける」という方は、会計後に自分で設定する必要があります。

クレジットカード会社ごとに分割払いの設定期限があるので、期限遅れがないように設定してください。

分割払いでよくある質問

分割払いを利用する前に、よくある質問をチェックしましょう。

手数料が多くなり自分が損しないためにも、一つずつ確認してみてください。

分割払いは何が悪いのでしょうか?

分割払いが悪いと言われる理由の一つには、手数料があります。12.0%から15.0%程度の手数料がかかるため、本来払わなくても良い費用を支払うことになります。

リボ払いと分割払いはどちらが得ですか?

支払い総額を抑えたいなら、分割払いのほうが得になる可能性が高いでしょう。一方1回の費用を抑えたいなら、リボ払いのほうが安く設定できます。

他の支払い方法より分割払いのほうがいい理由はありますか?

高額な商品を無理のない金額に分割できる点や、支払い回数を柔軟に選べる点が挙げられます。

分割払い36回は何年かかりますか?

滞りなく支払い続けられる前提であれば、36回の支払いは3年で完了します。

分割払いを使うなら計画的に利用・返済しましょう

クレジットカードの分割払いは、2カ月以上かつ3回以上に分けて支払う方法のことです。

現金がなくても購入できる点や、支払い回数を柔軟に設定できるメリットがあります。

しかし、以下のようなデメリットもあるので必ずメリット・デメリットを比較してみましょう。

また「ボーナスが入れば返済できる」「2回に分ければ返済できる」という方は、分割手数料がかからないボーナス払いや2回払いの利用もおすすめです。

複数の支払い方法を確認し、自分が最善だと思う形で商品・サービスを購入してください。

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